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右辺について、をスケーリングしてとしても全く影響しないので次のような定義も可能である。
写像ノルムを見つける定石としては次のものがある
がで定義されているとする。
またであるとする。つまり、
が存在し、有界である。
このとき次で定義される汎関数をというように表す。
この作用素のノルムを求めてみよう。
よって作用素のノルムは
となる。
空間において作用素ととすると
が可逆であることは、かつであることと同値
無限次元の空間ではAB=Iだけでは必ずしもAやBが可逆であることは言えないこれは注意が必要である。
例えば右シフト演算子と左シフト演算子では、であるが、である.
が完備距離空間、つまりバナッハ空間であるとして、有界線形作用素が逆を持つなら、も有界な線形写像である
をノルムが定義された空間とし、をその部分空間とする。もし
を満たすなら、はとの直和といい、
と表す
分解の一意性を示そう。
、と書けたとする。但し、
、、
よって
つまり、が成り立つ
でだとして、であるとすると全てのについて、
よってよっては線形空間である。
直交補空間の補空間が開集合であることを示して、直交空間が閉空間であることを示す。とする。つまり、
ここで、任意のがを満たすとする。
よってが成り立ち、はの内点
全てのの補空間の中の点が内点なので、の補空間は開集合である。
補空間が開集合なので、は閉集合
をHilbert空間であるとする。またを線形閉部分空間とすると
となる。
直和分解されるためには、閉空間でなければならないということに注意されたい。
直和の3つの性質が満たされるか確認してみよう。
以上から題意は証明された□
ノルム空間であるとする。が完備、つまりバナッハ空間である場合からへの有界線形写像も同様にバナッハ空間である。
をの中のコーシー列であるとする。がに収束することを示せばよい。
ここではまず、の候補として任意のが点収束する先を選び、その後にそれがの極限なのかを調べる。
任意のに対して
が成り立つ。がコーシー列であったから、n,mを大きくすれば、右辺は好きなだけ小さくできる。よってはの中のコーシー列である。がバナッハ空間であり、完備であるから、極限が存在して
となる。よって
が成り立つ。この場合ノルムの定義から
が成り立つ。これはがに収束することを意味している。□
をバナッハ空間として、有界線形作用素がを満たすとき、は可逆で
となる。
より、全ての有限次元作用素は、完全連続作用素である。
特にが有限次元空間である場合は、有界線形作用素と完全連続作用素であることは同値である。
定義からはある有限次元作用素が存在して、
となるとき、完全連続作用素となる。
完全連続作用素は弱収束列を強収束列に写す線形写像という定義の仕方もある。つまり
ならば
がヒルベルト空間であるとし、が有界完全連続作用素であるとする。また、任意の点列がを満たすとする。このとき列は収束する部分列を含んでいる。
が有界完全連続作用素なので、ある有界有限次元作用素の列を使って、
とできる。さて、ここでについて考えよう。が有界有限次元作用素である。
さて、のによる像をとおく。は有界で有限次元作用素であったので、は有界で有限次元である。列である。が有界で有限次元であることから、Bolzano-Weirstrausの定理を用いると、から収束する部分列を取り出すことができる。これをとおく。また、はに収束するとする。
同様にしてについて、列の中から、部分列を選び、列がに収束できるようにできる。この処理を無限に繰り返す。つまり列は列の部分列でに収束するとする。
さてここでこのような列の列に対しての要素に着目する。(対角線論法(diagonal procedure)という)とおく。であったから、当然を満たす。
が題意の部分列であることを示そう。それにはがCauchy列であることを示せばよい。
但しは要素の列の中の位置。明らかに、を大きくすれば、右辺は幾らでも小さくできる。したがってはCauchy列であり、の完備性より収束する。よって題意は示された□
ノルム空間の共役空間は完備である。すなわちバナッハ空間である。
をノルム空間とする。また、、とする。このとき、あるに対して、集合
はの中の閉超平面である。
はで、スケーリングによってを満たすとする。
であるとする。つまりはの線形倍からなる部分空間
まずであることを示す。
任意のについて、であるとすると、
のようにかける。からである。また明らかにである。
であるとすると、よりと書ける。
の定義からである。しかしながらよりよって、である。
つまり、
これはを意味している。
それに加えて、はともに閉空間である。
以上から、であることが示された。
は1次元であったために、明らかにと書ける。□
がヒルベルト空間であるとし、ある関数が有界線形関数であるとする。
このとき、あるが存在して
となる。さらにとなる。
のときはとすればよい。ここからはについて考える。
まず、であることを示す。
であるとすると、にとなるが存在する(をのへの射影ととった場合)。これはに反する。よって
のカーネルは閉空間であるから、
と直和分解される。上の定理より空間は1次元であった。ここでがの任意のを満たす基底であるとする。ここでであるとする。
であったから、と表される。さて、は
を満たさなくてはならない。つまり、
ここでよりよってが成り立つ。以上から
が一意に定まることが分かる。
さて、必要条件は揃ったので、このを用いて十分題意が満たされるのかを確かめてみよう。
は直和分解されていたから
と表される。
よって
が成り立つ。以上から題意は示された□
とすると、の共役空間はである。但し
明らかに空間は回帰的である。
とすると、の共役空間はである。但し
明らかに空間は回帰的である。
をヒルベルト空間とし、有界作用素が自己共役なら
が成り立つ。
をヒルベルト空間とし、有界線形作用素とすると、
のように直和分解される。
であるとする。つまり、あるが存在してとなる。
また、とすると、より、
となる。は任意であったからはの直交補空間つまり
である。有界線形作用素の核空間は閉部分空間であり、閉じた部分空間とその直交補空間を用いて空間を直和分解できる。よって
が示された□
距離空間、ノルム、線形写像、直和、零空間、作用素、ヒルベルト空間、完備、バナッハ空間
ヒルベルト空間論 (数理物理学方法序説) | 保江邦夫 著 |