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が閉空間であることと、
であることは同値である。
がの集積点である場合は上の定義は
と書ける。
一次元の区間において次のように各種連続は定義される。
区分的に連続な有界関数はリーマン積分可能である。
開集合は完備ではない。完備なら閉集合である。
有理数は完備ではない。反例は次のような10進数の数列、
はに収束するが、は無理数である。
がノルム空間であるとして、がの閉部分空間であるとする。もしとして
であるとする。が成り立つ。なぜなら、は閉部分空間であるからその補空間は開空間であり、あるが存在しての-近傍にが含まれないようにできる。
このときに対して、と書けるとき
が成り立つ。なぜなら、
であるからである。
例:楕円型偏微分方程式において、エネルギーノルムとノルムは等価なノルムである。
有限次元線形空間として、が次のように成分表示されているとする。
のノルムがみな次で定義されるノルムと等価であることを示す。
さて、ノルムと基底の係数の関係から、任意のノルムについて次が成り立つ
同様の操作をについて行う。
よって
が成り立つ。また、
よって題意は証明された。□
完備な距離空間をバナッハ空間と呼ぶ。
有限次元の線形空間は完備である。
を空間の次元数として、についての数学的帰納法で示す。
(i)のとき明らか
(ii)次元の線形空間が完備であるとする。この場合、次元の線形空間が完備であることを示す。ここでの基底がであるとする。またがの中のCauchy列であるとしよう。を成分表示すると、
まずがCauchy列であることを示す。がを基底とするの部分空間であるとすると、帰納法の仮定からは完備である。よっては閉じた部分空間である。上の補題よりあるが存在して、
よってはCauchy列である。であるとする。同様の操作をおのおのの基底について行いの極限をとする。
次にの極限がと表されることを示す。
の収束より、任意のについて、あるが存在し、
が全てのとについて成り立つ。これを用いると
となる。よって極限が存在するのでは完備
以上から有限次元の線形空間が完備であることが分かる□
有限要素法ではRitz-Galerkin法を用いて、エネルギーノルムにおける有限要素法離散化空間内で弱解の最良近似を求める。有限要素法離散化空間は有限次元の空間であるので完備である。これを用いると弱解の最良近似は常に存在することがわかる。
一様収束すれば点収束するこをを示す。
であるから、一様収束すれば点収束する。
区間において、は
に点収束するが、一様収束はしない。なぜなら常にであるからである。
一様収束は点収束よりも強い意味での収束であることがいえる。
有界関数が一様ノルムで完備であることを示すためには、有界関数の列がCauchy列であれば有界関数に一様収束することを示せばよい。
がCauchy列であるとする。すなわち、
任意のについて、あるが存在してについて、となる。
ここでについて
が成り立つのではCauchy列である。の収束先をとする。つまりはの点収束先
さて、上の不等式のを固定したまま、を計算すると
となる。これが任意のについて成り立つので
つまりはに一様収束しているということが言える。また、あるについて、が成り立つとき、上からがいえる。よって一様収束する先は有界関数
以上から有界関数が完備であることが示された□
Bolzano-Weirstrausの定理から[a,b]で定義される連続関数は全て有界である。つまり
が成り立つ。
上から、は完備であったから、のCauchy列はに収束する。よって、収束した先が連続であることを証明すれよい。
関数列とする。が一様収束する先をとしよう。さて、に対して、
が成り立つ。
さて、は連続関数であったので、に対して、ならであるようなが存在する。
また、はに一様収束するので、に対して、が十分大きければ、となる。
以上から
であるといえる。つまりは連続関数
よって題意は証明された□
有理数は実数の中で稠密である。
整数は実数の中で稠密ではない。
のとき、を満たすようなが存在しない。
がの中で稠密であるとする。ある連続関数が
を満たすなら、
が成り立つ。
、であるとする。が連続関数であったから、
についてがで稠密であったから、に収束する列が存在する。つまり、上のに対して、ある自然数が存在して
となる。つまり、どんなにたいしてもより距離の近いの要素が存在する。
以上より、に対してとすることができる。つまり□
これは、もし稠密な部分空間である連続的なことが成り立つことは全空間で成立つことを示している。
がの中で稠密であるとき、の任意の元に対して、
となるようなが存在する。
これはFの任意の元はEの元によって任意の精度で近似することができるということを表している。
例えば、無理数は小数で近似することができる。
級関数は空間で稠密であることを用いて、有限要素法の妥当性がいえる。
級関数は微分が区分連続な連続関数の空間の部分空間であるから、微分が区分連続な連続関数の空間も空間の中で稠密であるといえる。
変分原理から導かれる弱解は空間中にあり、エネルギーノルムとノルムは微分方程式の楕円性により等価である。つまり、弱解は微分が区分連続な連続関数によってエネルギーノルムで任意の精度で近似することができる。
エネルギーノルムにおける離散空間中での弱解の最良近似が有限要素法解である。メッシュを好きなだけ細かくすることができれば、有限要素法を使ってエネルギーノルムやノルムで弱解を任意の精度で近似することができることがわかる。
であるとき、を満たす。
とする。に依存しないある正の定数が存在して、であるとことを示せばよい。
と置き、Hölderの不等式にを代入する。
よってが成立つ。このことからであればである。つまり、□
前に連続関数はノルムで完備であることを述べたが、ノルムでは連続関数は完備ではない
反例は次のような関数列によって与えられる。
この関数がCauchy列であることを示し、極限が連続関数でないことを示す。
よってについて、とすれば
となる。よってはCauchy列となる。しかしながら、の極限は
である。これは連続関数ではない。よって連続関数はノルムで完備では無い。
内積空間の中のについて、
が成り立つ。
について、
が成り立つ。
あるノルム空間にが内積空間である必要十分条件は、中線定理が成り立つことである。
このとき、内積は
と定義される。
注意すべきことはノルム空間では最良近似は一意でないということ。
が内積空間であるとし、はの線形部分空間、とする。次このとき、次の2つは同値
また、最良近似が存在するとき、それは一意である(一般的なノルムの場合と違って、内積から作られるノルムに対しては一意である)
1→2
とすると、よって、
よっては最良近似
2→1
背理法で示す.がの最良近似であるとき、であるようなが選べたとする.として、となるようにが正規化されているとする.このとき、
は最良近似ではないので矛盾.よって、となる.□
一意性については、
がを満たすとすると、が成り立つ.
ここでと選ぶとより、となる.よって最良近似が存在するならば、一意に定まる.
が内積空間でが完備な線形部分空間である場合、任意のに対して最良近似が存在する。
とおく.
をとなるような数列であるとする.
このときがCauchy列であることを証明する.
ここで、
とおく.中線定理を用いると、
となる.ここで、Gは線形空間であるから、である.
よって、となる.以上から
となる.
であるから、n,mを十分大きく取れば、任意のに対して
となるようにすることができる.よって、
はCauchy列である.
よって、Gは完備であるから、
となるようなが存在する.□
距離空間、ノルム、線形写像、直和、零空間、作用素、ヒルベルト空間、完備、バナッハ空間
ヒルベルト空間論 (数理物理学方法序説) | 保江邦夫 著 |