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Hilbert Space

ヒルベルト空間




Last Update:2009年05月23日


目次

開空間と閉空間

近傍
距離空間Dに対して、x\epsilon-近傍(\epsilon-neighbor)N_{\epsilon}(x)とは、xの周りのxとの距離が\epsilonより小さい点の集合である。つまり、
N_{\epsilon}(x)=\{y\in D | d(x,y)\lt \epsilon \}

内点
x\in Aは、ある\epsilonが存在し、N_{\epsilon}(x)\sub AであるときAの内点(interior point)であるといわれる。
開集合
全ての点が内点であるような集合は開集合(open set)と呼ばれる。
閉集合
集合Aはその補集合(Aに属さない全ての点の集合)が開空間である場合、閉空間(close set)と呼ばれる。
集積点
任意の\epsilon \gt 0に対して、点x\epsilon近傍、N_\epsilon(x)が少なくとも1つのAの要素を含むときxは集積点(accumulation point)と呼ばれる
閉包
Aの全ての集積点の集合はAの閉包(closure)と呼ばれ\bar{A}のように表される。

閉包と閉空間

Aが閉空間であることと、

A=\bar{A}

であることは同値である。

連続

連続(continuous)
f:A\rightarrow Ba\in Aで連続であるということは
   \forall\epsilon>0\quad\exist\delta>0\quad such\quad that\quad\forall x\in A\quad||x-a||_A<\delta\quad\rightarrow\quad ||f(x)-f(a)||_B<\epsilon

aAの集積点である場合は上の定義は

\lim_{n\rightarrow\infty}f(x_n)=f(a)

と書ける。

1次元における各種連続

一次元の区間Iにおいて次のように各種連続は定義される。

連続(continuous)
関数fが区間Iについて連続であるとは、\lim_{y\in I\rightarrow x}\;f(x)-f(y)=0\;\forall x\in Iが成り立つことである。
微分可能(differentiable)
関数fが区間Iについて微分可能であるということはf'(x)=\lim_{y\in I\rightarrow x}\;\frac{f(x)-f(y)}{x-y}\forall x\in Iについて存在するということである。
連続に微分可能(continuously differentiable)
関数fが区間Iについて連続に微分可能であるということはfが微分可能でfの微分f'が連続であるということである。
リプシッツ連続(Lipschitz continuous)
関数fが区間Iについてリプシッツ連続であるとは\frac{|f(x)-f(y)|}{|x-y|}\forall x,y\in I,x\ne yについて有界であるということである。
ヘルダー連続(Hölder continuous)
関数fが区間Iとある係数\gamma\in (0,1)について、ヘルダー連続であるとは\frac{|f(x)-f(y)|}{|x-y|^{\gamma}}\forall x,y\in I,x\ne yについて有界であるということである。
区分的に連続(piece wise continuous)
不連続点が有限個しか存在しない、関数を区分的に連続な関数と呼ぶ。区分[a,b]の区間的に連続な関数をPC[a,b]と表す。

区分的に連続な有界関数はリーマン積分可能である。

完備

完備(complete)
集合Aは、任意のCauchy列a_n\in AAの中に極限を持つとき完備であると言われる。

開集合は完備ではない。完備なら閉集合である。

完備でない空間の例

有理数は完備ではない。反例は次のような10進数の数列、

1\qquad 1.4\qquad 1.41\qquad 1.414\qquad 1.4142

\sqrt{2}に収束するが、\sqrt{2}は無理数である。

ノルム空間

ノルム
Eが線形空間であるとして、x\in Eに対するE\rightarrow \cal{C}の実数関数||x||と書くとき、これが次の性質を満たせばノルムと言われる
   ||x||\ge 0\quad\forall x\in E(正値性)
   ||x||=0\leftrightarrow x=0
   ||\lambda x||=|\lambda |\cdot ||x||\quad\forall \lambda\in\cal{R}\quad and\quad x\in E(斉次性)
   ||x+y||\le ||x||+||y||\quad \forall x,y\in E(三角不等式)

数列のノルム

p-ノルム
1\le p<\inftyとして、数列a_n=(a_1,a_2,a_3,\ldots)のp-ノルムは次のように定義される
   ||a||_p=\{\sum_{i=1}^{\infty} |a_i|^p\}^{\frac{1}{p}}
∞-ノルム
有界列a_nに対して∞-ノルムは次のように与えられる
   ||a||_{\infty}=\sup_{i\in N}|a_i|

Holderの不等式

Hölderの不等式
p,q\frac{1}{p}+\frac{1}{q}=1を満たすとき、数列a\in l^pb\in l^q
   \sum^{\infty}_{i=1}|a_i b_i|\le ||a||_p\cdot||b||_q
を満たす。

ノルムと基底の係数の関係

Eがノルム空間であるとして、WEの閉部分空間であるとする。もしg\notin Wとして

d=\inf_{\omega\in W}||g -\omega||

であるとする。d\ne 0が成り立つ。なぜなら、Wは閉部分空間であるからその補空間は開空間であり、ある\epsilon>0が存在してg\epsilon-近傍にWが含まれないようにできる。

このとき\forall v\in Eに対して、v=\lambda g+\omega,\quad \lambda\in\cal{R},\quad \omega\in Wと書けるとき

|\lambda|\le \frac{1}{d}||v||

が成り立つ。なぜなら、

||v||=||\lambda g+\omega||=|\lambda|\cdot ||\omega-(-\frac{g}{\lambda})||\ge|\lambda|d

であるからである。

等価なノルム(equivalent norm)
Eがノルム空間であるとして、||.||||.||'の2種類のノルムがあるとする。このとき正の実数m,Mが存在して、全てのx\in Eに対して
||x||\le m||x||'   ||x||'\le M||x||
が成り立つとき、||.||||.||'は等価なノルムであるという。

例:楕円型偏微分方程式において、エネルギーノルムとH^1ノルムは等価なノルムである。

有限次元線形空間のノルムはみな等価

有限次元線形空間Vとして、\forall v\in Vが次のように成分表示されているとする。

v=a_1 g_1+a_2 g_2+\cdots+a_k g_k

のノルムがみな次で定義されるノルム||.||_1と等価であることを示す。

||v||_1=\sum_{i=1}^n |a_k|

証明

さて、ノルムと基底の係数の関係から、任意のノルム||.||について次が成り立つ

|a_1|\le \frac{1}{d_1} ||v||

同様の操作をi=1,\ldots,nについて行う。

|a_i|\le \frac{1}{d_i} ||v||

よって

||v||_1=\sum_{i=1}^n |a_i|\le \(\sum_{i=1}^n\frac{1}{d_i}\)||v||

が成り立つ。また、

||v||=||\sum_{i=1}^n a_k g_k||\le \sum_{i=1}^n ||a_k g_k||\le\quad\(\max_{i=1,\ldots,n}||g_i||\) \sum_{i=1}^n |a_k|=\quad\(\max_{i=1,\ldots,n}||g_i||\) ||v||_1

よって題意は証明された。□

完備距離空間(バナッハ空間)

完備な距離空間をバナッハ空間と呼ぶ。

有限次元の線形空間は完備

有限次元の線形空間は完備である。

証明

kを空間の次元数として、kについての数学的帰納法で示す。

(i)k=0のとき明らか

(ii)k-1次元の線形空間が完備であるとする。この場合、k次元の線形空間Vが完備であることを示す。ここでVの基底が\{g_1,g_2,\ldots,g_k\}であるとする。またa_nVの中のCauchy列であるとしよう。a_nを成分表示すると、

a_n=a^1_n g_1+a^2_n g_2+\cdots+a^k_n g_k

まずa^1_nがCauchy列であることを示す。W\{g_2,g_3,\ldots,g_k\}を基底とするVの部分空間であるとすると、帰納法の仮定からWは完備である。よってVは閉じた部分空間である。上の補題よりあるd>0が存在して、

|a^1_n-a^1_m|\le\frac{1}{d} ||(a^1_n-a^1_m)g_1+\((a^2_n-a^2_m)g_2+(a^3_n-a^3_m)g_1+\cdots+(a^k_n-a^k_m)g_k\)||=\frac{1}{d}||a_n-a_m||

よってa^1_nはCauchy列である。\lim_{n\rightarrow \infty}a^1_n=\alpha^1であるとする。同様の操作をおのおのの基底について行いa^i_nの極限を\alpha^i_nとする。

次にa_nの極限aa=\alpha^1_n g_1+\alpha^2_n g_2+\cdots+\alpha^k_n g_kと表されることを示す。

a^i_nの収束より、任意の\epsilon>0について、あるNが存在し、

|a^i_n-\alpha_i|<\frac{1}{k}\frac{\epsilon}{||g_i||}

が全てのi\in 1,\ldots kn>Nについて成り立つ。これを用いると

||a_n-a||=||(a^1_n-\alpha^1)g_1+(a^2_n-\alpha^2)g_2+\cdots+(a^k_n-\alpha^k)g_k||\\\qquad\qquad\le||a^1_n-\alpha^1||\cdot||g_1||+||a^2_n-\alpha^2||\cdot||g_2||+\cdots+||a^k_n-\alpha^k||\cdot||g_k||\\\qquad\qquad < \epsilon

となる。よって極限が存在するのでVは完備

以上から有限次元の線形空間が完備であることが分かる□


有限要素法ではRitz-Galerkin法を用いて、エネルギーノルムにおける有限要素法離散化空間内で弱解の最良近似を求める。有限要素法離散化空間は有限次元の空間であるので完備である。これを用いると弱解の最良近似は常に存在することがわかる。

点収束と一様収束

一様ノルム,L^∞ノルム
一様ノルム||.||_{\infty}f\in \cal{B}(I)について、
||f||_{\infty}=\sup_{x\in I}|f(x)|
と定義される。
一様収束
関数列f_n\in \cal{B}(I)が、ある関数f\in \cal{B}(I)に一様収束するとは
   \lim_{n\rightarrow\infty}||f-f_n||_{\infty}=0
である。
点収束
関数列\{f_n\}\in \cal{B}(I)は、極限f\in \cal{B}(I)が全てのx\in Iに対して
   \lim_{n\rightarrow\infty}f_n(x)=f(x)
が成り立つとき点収束するという。

一様収束と点収束

一様収束すれば点収束する

一様収束すれば点収束するこをを示す。

|f(x)-f_n(x)|\le \sup_{y\in I}|f(y)-f_n(y)|=||f-f_n||_{\infty}

であるから、一様収束すれば点収束する。

点収束しても一様収束するとは限らない

区間[0,1]において、f_n(x)=x^n

f(x)=\{\begin{array}{ll}0&for\quad 0\le x<1\\1&for\quad x=1\end{array}

に点収束するが、一様収束はしない。なぜなら常に||f-f_n||_{\infty}=1であるからである。


一様収束は点収束よりも強い意味での収束であることがいえる。

有界関数の一様ノルムにおける完備性

有界関数が一様ノルムで完備であることを示すためには、有界関数の列f_n\in B(I)がCauchy列であれば有界関数に一様収束することを示せばよい。

f_nがCauchy列であるとする。すなわち、

\forall\epsilon>0\quad\exist N\quad st\quad ||f_n-f_m||_\infty<\epsilon\quad (\quad n,m>N\quad )

任意の\epsilon>0について、あるNが存在してn,m>Nについて、||f_n-f_m||_\infty<\epsilonとなる。

ここでx\in Iについて

|f_n(x)-f_m(x)|\le ||f_n-f_m||_\infty < \epsilon

が成り立つのでf_n(x)はCauchy列である。f_n(x)の収束先をf(x)とする。つまりff_nの点収束先

さて、上の不等式のmを固定したまま、n\rightarrow\inftyを計算すると

||f_m(x)-f(x)||_\infty<\epsilon

となる。これが任意のx\in Iについて成り立つので

||f_m \qquad -f||_\infty<\epsilon

つまりf_nfに一様収束しているということが言える。また、あるnについて、||f_n||_\infty\le Mが成り立つとき、上から||f||\le M+\epsilonがいえる。よって一様収束する先は有界関数

以上から有界関数が完備であることが示された□

連続関数の一様ノルムにおける完備性

Bolzano-Weirstrausの定理から[a,b]で定義される連続関数は全て有界である。つまり

C[a,b]\sub B[a,b]

が成り立つ。

上から、B(I)は完備であったから、C[a,b]のCauchy列はB(I)に収束する。よって、収束した先が連続であることを証明すれよい。

関数列f_n\in C[a,b]とする。f_nが一様収束する先をfとしよう。さて、x,x_0\in [a,b]に対して、

|f(x)-f(x_0)|=|f(x)-f_n(x)+f_n(x)-f_n(x_0)+f_n(x_0)-f(x_0)|\\\quad\quad\quad\quad\le|f(x)-f_n(x)|+|f_n(x)-f_n(x_0)|+|f_n(x_0)-f(x_0)|

が成り立つ。

さて、f_nは連続関数であったので、\forall\epsilon>0に対して、|x-x_0|<\deltaなら|f_n(x)-f_n(x_0)|<\epsilon/3であるような\deltaが存在する。

また、f_nfに一様収束するので、\forall\epsilon>0に対して、nが十分大きければ|f(x)-f_n(x)|<\epsilon/3|f(x_0)-f_n(x_0)|<\epsilon/3となる。

以上から

\forall\epsilon>0\quad\exist\delta\quad |x-x_0|<\delta\rightarrow |f(x)-f(x_0)|<\epsilon

であるといえる。つまりfは連続関数

よって題意は証明された□

完備化とL^p空間

稠密

稠密(dense)
EFの部分空間であり、Eの閉包がFである、つまり\bar{E}=Fであるとき、EFの中で稠密であるという。

稠密な例

有理数Qは実数Rの中で稠密である。

稠密でない例

整数Zは実数Rの中で稠密ではない。

\epsilon<0.5のとき、|0.5-i|<\epsilonを満たすようなi\in Zが存在しない。

連続関数が稠密な部分空間で0なら全空間で0、(等式延長の原理の特殊な場合)

XYの中で稠密であるとする。ある連続関数f:Y\rightarrow R

f(x)=0\quad \forall x\in X

を満たすなら、

f(y)=0\quad \forall y\in Y

が成り立つ。

証明

x\in Xy\in Yであるとする。fが連続関数であったから、

\forall\epsilon>0\quad\exist\delta>0\quad st\quad ||y-x||<\delta\rightarrow|f(y)-f(x)|=|f(y)|<\epsilon

\forall y\in YについてXYで稠密であったから、yに収束する列x_n\in Xが存在する。つまり、上の\deltaに対して、ある自然数Nが存在して

||x_n-y||<\delta, \quad \forall n>N

となる。つまり、どんなyにたいしても\deltaより距離の近いXの要素が存在する。

以上より、\forall\epsilon>0に対して|f(y)|<\epsilonとすることができる。つまりf(y)=0


これは、もし稠密な部分空間である連続的なことが成り立つことは全空間で成立つことを示している。


稠密であることの使用例

EFの中で稠密であるとき、Fの任意の元fに対して、

||f-e||<\epsilon\;\;\forall \epsilon >0

となるようなe\in Eが存在する。

これはFの任意の元はEの元によって任意の精度で近似することができるということを表している。

例えば、無理数は小数で近似することができる。

弱解の有限要素法離散空間による近似

C^{\infty}級関数はH^1空間で稠密であることを用いて、有限要素法の妥当性がいえる。

C^{\infty}級関数は微分が区分連続な連続関数の空間の部分空間であるから、微分が区分連続な連続関数の空間もH^1空間の中で稠密であるといえる。

変分原理から導かれる弱解はH^1空間中にあり、エネルギーノルムとH^1ノルムは微分方程式の楕円性により等価である。つまり、弱解は微分が区分連続な連続関数によってエネルギーノルムで任意の精度で近似することができる。

エネルギーノルムにおける離散空間中での弱解の最良近似が有限要素法解である。メッシュを好きなだけ細かくすることができれば、有限要素法を使ってエネルギーノルムやH^1ノルムで弱解を任意の精度で近似することができることがわかる。

完備化(completion)
空間Fが完備であり、EFの中で稠密であるときFEを完備化(completion)したものと呼ばれる。

L^P空間

L^pノルム
||.||_pノルムとは、
   ||f||=\{\int^b_a |f(x)|^p dx\}^{\frac{1}{p}}
で定義されるノルムである。但し、1\le p \lt\inftyとする。

L^p空間の性質

  1. L^p(a,b)空間は完備
  2. C[a,b]空間はL^p(a,b)空間の中で稠密。よってC[a,b]||.||_pノルムを用いて完備化したものはL^p(a,b)である。

Holderの不等式

Hölderの不等式
f\in L^p(a,b)g\in L^q(a,b)であり、\frac{1}{p}+\frac{1}{q}=1であるとする。
    ||fg||_1=\int^b_a |f(x)g(x)|dx\le ||f||_p||g||_q
が成り立つ。

L^p空間の包含関係

1\le p\le q\le\inftyであるとき、L^q\sub L^pを満たす。

証明

f\in L^p(a,b)とする。fに依存しないある正の定数Cが存在して、||f||_q\le C||f||_pであるとことを示せばよい。

s=\frac{q}{p}と置き、Hölderの不等式に|f|^p,1を代入する。

\=|f|^p\cdot 1\=_{L^1}\le \=|f|^p\=_{L^s} ||1||_{L^{1/(1-\frac{p}{q})}}   \\\Leftright \int_a^b \| |f|^p\cdot 1\|dx\le ||1||_{L^{1/(1-\frac{p}{q})}} \left(\int_a^b \left | |f|^p \right |^{\frac{q}{p}} dx\right\)^{\frac{p}{q}}   \\\Leftright \int_a^b |f|^p dx\le ||1||_{L^{1/(1-\frac{p}{q})}} \left(\int_a^b  |f|^q dx\right\)^{\frac{p}{q}}   \\\Leftright ||f||_{L^p}^p \le ||1||_{L^{1/(1-\frac{p}{q})}} ||f||_{L^q}^p   \\\Leftright ||f||_{L^p} \le ||1||^{\frac{1}{p}}_{L^{1/(1-\frac{p}{q})}} ||f||_{L^q}

よって||f||_{L^p} \le C||f||_{L^q}が成立つ。このことからf\in L^qであればf\in L^pである。つまり、L^q\sub L^p

連続関数はp-ノルムで完備ではない

前に連続関数C[a,b]||.||_{\infty}ノルムで完備であることを述べたが、||.||_pノルムでは連続関数は完備ではない

反例は次のような関数列f_n(x)によって与えられる。

f_n(x)=\{\begin{array}{ll}1&for\quad x\ge \frac{1}{n}\\ nx&for\quad-\frac{1}{n}\le x\le \frac{1}{n} \\ -1&for\quad x\le -\frac{1}{n} \end{array}

この関数がCauchy列であることを示し、極限が連続関数でないことを示す。

||f_n-f_m||_p=\{\int_{-\frac{1}{n}}^{\frac{1}{n}}|f_n(x)-f_m(x)|^p dx\}^{\frac{1}{p}}\le \{\int_{-\frac{1}{n}}^{\frac{1}{n}} 1dx\}^{\frac{1}{p}}=\{\frac{2}{n}\}^{\frac{1}{p}}

よって\forall\epsilon>0について、N>\frac{2}{\epsilon^p}とすれば

||f_n-f_m||_p\le\epsilon \quad\forall m,n\ge N

となる。よってf_nはCauchy列となる。しかしながら、f_nの極限f

f(x)=\{\begin{array}{ll}-1&for\quad x<0\\ 1&for\quad x>0\end{array}

である。これは連続関数ではない。よって連続関数は||.||_pノルムで完備では無い。

内積

内積空間
空間Hは、f,g\in Hについて(f,g)で表されるような実数が存在して、次の性質を満たすとき内積空間と呼ばれる。
   (f+g,h)=(f,h)+(g,h)
   (\lambda f,g)=\lambda (f,g)
   (f,g)=(g,f)
   (f,f)\gt 0,\quad if\quad f\ne 0,\quad and \quad (f,f)=0\quad for\quad f=0

Cauchy-Schwarzの不等式

内積空間の中のf,gについて、

|(f,g)|\le ||f||\cdot||g||

が成り立つ。

中線定理

f,g\in Hについて、

2(||f||^2+||g||^2)=||f+g||^2+||f-g||^2

が成り立つ。

分極公式

あるノルム空間にが内積空間である必要十分条件は、中線定理が成り立つことである。

このとき、内積は

(x,y)=\frac{1}{4}\(||x+y||^2-||x-y||^2\)

と定義される。

最良近似

最良近似(best approximation)
Hをノルム空間とし、f\in HG\sub Hとする。g\in Gは次のときGの中のfの最良近似(best approximation)と言われる
||f-g||\le\||f-h||\quad\forall h\in G

注意すべきことはノルム空間では最良近似は一意でないということ。

特徴化定理

Hが内積空間であるとし、GHの線形部分空間、f\in Hとする。次このとき、次の2つは同値

  1. g\in Gについて、f-g\bot Gが成り立つ
  2. g\in Gfの最良近似

また、最良近似が存在するとき、それは一意である(一般的なノルムの場合と違って、内積から作られるノルムに対しては一意である

証明

1→2

h\in Gとすると、g-h\in Gよって、f-g\bot g-h

||f-h||^2=||(f-g)+(g-h)||^2=||f-g||^2+||g-h||^2\ge||f-g||^2

よってg\in Gは最良近似

2→1

背理法で示す.g\in Gfの最良近似であるとき、(f-g,h)\ne 0であるようなh\in Gが選べたとする.\alpha=(f-g,h)として、||h||=1となるようにhが正規化されているとする.このとき、

||f-(g+\alpha h)||^2=||f-g||^2-2\alpha(f-g,h)+\alpha^2||h||^2=||f-g||^2-\alpha^2\le||f-g||^2

gは最良近似ではないので矛盾.よって、(f-g,h)=0\;\forall h\in Gとなる.□


一意性については、

g_1,g_2\in G(f-g_1,h)=0,\;(f-g_2,h)=0\;\forall h\in Gを満たすとすると、(g_1-g_2,h)=0\;\forall h\in Gが成り立つ.

ここでh=g_1-g_2と選ぶと(g_1-g_2,g_1-g_2)=||g_1-g_2||^2=0より、g_1=g_2となる.よって最良近似が存在するならば、一意に定まる.

最良近似の存在定理

Hが内積空間でGが完備な線形部分空間である場合、任意のf\in Hに対して最良近似g\in Gが存在する。

証明

d=\inf_{h\in G}||f-h||とおく.

g_n\in G\lim_{n\rightarrow\infty}||f-g_n||=dとなるような数列であるとする.

このときg_nがCauchy列であることを証明する.

ここで、

d_n=||f-g_n||とおく.中線定理を用いると、

||g_n-g_m||^2=||(f-g_n)-(f-g_m)||^2=2||f-g_n||^2+2||f-g_m||^2-||(f-g_n)+(f-g_m)||^2\\\;\;\;=2d_n^2+2d_m^2-4||f-\frac{g_n+g_m}{2}||^2

となる.ここで、Gは線形空間であるから、f-\frac{g_n+g_m}{2}\in Gである.

よって、||f-\frac{g_n+g_m}{2}||\ge dとなる.以上から

||g_n-g_m||^2\le2d_n^2+2d_m^2-4d^2

となる.

d_n,d_m\rightarrow d

であるから、n,mを十分大きく取れば、任意の\epsilon>0に対して

||g_n-g_m||<\epsilon

となるようにすることができる.よって、

g_nはCauchy列である.

よって、Gは完備であるから、

g_n\rightarrow gとなるようなg\in Gが存在する.□

参考にしたもの

Wikipedia

距離空間ノルム線形写像直和零空間作用素ヒルベルト空間完備バナッハ空間

Link

Online Mathematics Texts -オンライン数学テキスト-
http://homepage2.nifty.com/masema/index.html
解析についてのwebノート
http://www.ne.jp/asahi/search-center/internationalrelation/mathWeb/index.htm
線形作用素
http://forum.shimozono.net/room1/package/hilbert-space3.htm
有界線形汎関数
http://www.fbc.keio.ac.jp/~hkomiya/education/lecture/normed-space-2005-3.pdf
線形代数
http://schubert.cs.shinshu-u.ac.jp/~miyao/UD/Subjects/Linear/index.html

Book

ヒルベルト空間論 (数理物理学方法序説) 保江邦夫 著


Made by Nobuyuki UMETANI  梅谷 信行
n.umetani@gmail.com