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QR法とはQR分解を用いて反復的に固有値を求める方法である。
行列は次のようにユニタリー行列を用いて、上三角行列に変換することができる。
これをシュール分解(Schur Decomposition)という。
はユニタリー行列なので、の固有値はの固有値に等しい。上三角行列の固有値はその対角成分である。よっての固有値を調べるためにはシュール分解した上三角行列の対角成分を調べればいいことがわかる。
但し、の場合はアベールの定理(Abel's theorem)により、は直接求められないことが知られている。
そこで反復的な計算により、にシュール分解を行うのがQR法である。
ここで、として、をのQR分解であるとする。
の操作を繰り返す。
つまり、
はユニタリー行列であるから、の固有値との固有値は等しい
このとき、
一般的にQR分解は大きな手間を要する。そこでの固有値を変化させない、より成分の少ない行列に変換することで計算を大幅に削減することができる。対称行列ならLanczos方を用いて固有値を変えることなく3重対角行列に相似変換できる。また、非対称行列はArnoldi法を用いることでヘッセンベルグ行列に変換できるほか、Two-Sided Lanczos Methodを用いることで3重対角行列に相似変換することができる。このような方法をReductionという。
をヘッセンベルグ行列 に変換してからQR法を適応すると比較的簡単にQR分解を適応することができる。
Arnoldi法を用いると次のように正規直交なベクトル列を使っては次のようにヘッセンベルグ行列に変換できる。
ヘッセンベルグ行列の固有値はRitz値と呼ばれ,との固有値に近い
の固有値分布を求めることで、の固有値分布を大方知ることができる.
ヘッセンベルグ行列をQR分解する方法はギブンス回転がよく使われる。
が十分小さくなったら, (n - 1) × (n - 1) 行列の部分の固有値を求めればよい.
そうすることで次数を減らすことができ、計算を加速することができる。
次のようにあるシフト量を導入して、求めたもまたと同じ固有値を持つ
を選ぶことによって収束を加速することができる。
は右下の2×2の行列の固有値のうち、一番右下の対角成分に近いものがよく使われる。これをウィルキンソンの移動法(Wilkinson's Shift)という。